これからママになる方へ

Hospitalization

帝王切開

Caesarean section

帝王切開術での分娩について

帝王切開術とはお腹と子宮を切開して児を娩出させる手術のことをいいます。
計画的に行う予定帝王切開術と、胎児あるいは母体が危険なため急いで胎児を娩出させるために行う緊急帝王切開術があります。

帝王切開を適用するケース

予定帝王切開術

前回の出産が帝王切開で今回も帝王切開での分娩を希望されている、筋腫核出術など子宮の手術を受けたことがある、胎位の異常(逆子など)、胎盤の位置異常(前置胎盤、低置胎盤など)、多胎妊娠、巨大児、その他経腟分娩にリスクがある、など。

緊急帝王切開術

胎児の心音が低下し状態が悪くなった(胎児機能不全)場合、うまく分娩が進行せず経腟分娩が難しい場合(分娩停止)、 妊娠高血圧症候群などお母さんの状態が悪化して妊娠継続が困難な場合、常位胎盤早期剥離、分娩中の大量出血時、臍帯脱出 など。

帝王切開術実施の経過

手術で使用する麻酔は、背中からの麻酔(硬膜外麻酔)になります。
意識はありますので、短時間になりますが生まれたときの赤ちゃんの泣き声を聞いたり、赤ちゃんの姿を見たりすることができます。
赤ちゃんが生まれたあとは全身麻酔(吸入麻酔・静脈麻酔)に切り替えて、手術の苦痛が少なくなるように配慮しております。

手術時間は麻酔の導入などをあわせて、所要時間は約1~2時間くらいです。
帝王切開の入院期間は手術翌日から7日間となります。(手術当日を0日目、翌日を1日目として7日目に退院)

帝王切開で生まれた赤ちゃんは、状態の変化などを慎重に観察するため約1日保育器で管理させていただきます。

帝王切開後の経腟分娩(TOLAC)について

帝王切開既往妊婦に対し試験的に経腟分娩を図ることをTrial of labor after cesarean delivery(TOLAC)といい、それが成功した結果を Vaginal birth after cesarean delivery(VBAC)といいます。
TOLACのメリット・デメリットは以下のとおりです

TOLACのメリット

  • 自然な分娩が期待でき、帝王切開と比較して産後の回復が早くより短い入院期間ですむ
  • 出血量の減少、感染症リスクの減少、分娩後血栓症発生のリスク減少など、手術に伴うリスクの減少が期待できる

TOLACのデメリット

  • 帝王切開に比べて子宮破裂の発生率が高くなる( 0.2~0.7%)。子宮破裂は予測することが難しく、重症の場合は大出血により母体、胎児が危険になることがある。また、分娩後に子宮破裂が分かることもあり、分娩後も注意が必要
  • 帝王切開に比べて周産期死亡率、新生児死亡率がそれぞれ有意に高くなる
  • 母児合併症のリスクは、TOLAC が不成功となった場合特に高くなる

TOLAC実施の条件

当院では以下の条件を満たした方に対して、十分にリスクを理解していただいた上でTOLACを実施しております。

  • 1

    過去にうけた帝王切開が 1 回のみであること。

  • 2

    過去に受けた帝王切開の適応が、分娩停止や児頭骨盤不均衡などでは無いこと。

  • 3

    過去にうけた帝王切開の子宮切開法が子宮下部横切開であり、術後経過に問題がなかったことが確認できること(手術をした病院に問い合わせをすることがあります。)

  • 4

    帝王切開後に子宮切開部筋層の異常な菲薄が無いこと。

  • 5

    明らかな児頭骨盤不均衡や児頭下降不全がないこと。

  • 6

    今回の妊娠が、巨大児、双胎、骨盤位、母体肥満、その他のリスクがないこと。

  • 7

    子宮内胎児発育遅延、妊娠高血圧腎症や羊水過少など、胎児の状態が悪い可能性のある病態では無いこと。

  • 8

    子宮体部筋層の手術既往(子宮筋腫核出術など)、または子宮破裂の既往がないこと。

  • 9

    TOLACに関する危険性を本人、家族が十分に理解していること。

その他、担当医師の判断でTOLACを行えない場合があります。
また、TOLACを行う際には、いつでも帝王切開に切り替えられるように、あらかじめ手術前検査(心電図検査、採血検査)などを行います。

当院におけるTOLACの管理

  • 児の推定体重や胎位、胎盤の位置などからTOLACが可能か判定します。
  • 原則として自然陣痛の開始を待ちます。
  • 予定日付近になっても自然に陣痛が開始しない場合、計画分娩となる可能性があります。
  • スムーズに分娩が進行しない場合、帝王切開となります。
  • 分娩時に子宮破裂の症状がみられた場合には、速やかに緊急帝王切開分娩へ移行します。
    なお、分娩後の子宮破裂にも注意して状態監視を行います。

以下の場合には緊急帝王切開分娩となります。

  1. 出血や強度の下腹部痛、呼吸苦など母体の状態悪化、胎児心拍異常などが見られた場合
  2. 陣痛開始後の続発性微弱陣痛など、分娩の進行がない場合
  3. 頸管成熟・子宮口開大が見られない場合
  4. その他分娩遷延であったり、医師が必要と判断した場合

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